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Kanen KM-948.

大きければ良いのか? たとえば自動車のヘッドライトは小さくすることで、照射対象のエッジを強調させる効果があり、視認性が高くなります。これは、蛍光灯と電球を思い浮かべれば理解しやすいのですが、蛍光灯では発光部の面積が大きいために、影がぼんやりとします。一方、白熱灯やハロゲンライトは発光部分の面積が小さいために影がくっきりと出ます。発光部分の面積を小さくすることで、対象物をよりくっきりと照らし出すために、ヘッドライトの発光部分は小さくなる傾向があります。

スピーカーでは大きければ良いという風潮が散見されます。確かに大きなスピーカーは立派で見栄えがします。しかし、スピーカーの振動版を大きくした場合、振動板自体が重くなり追従性が悪くなるという欠点が出てきます。そして、振動板の剛性が足りずに振動板全体が同時に動かず、ボイスコイル部分とエッジ部分が別の動きをすることがあります。これを分割振動と言って、特に低音域を受け持つウーファーでは能率を下げてしまう原因やひずみの原因となっています。同じ体積の空気を押し引きするのであれば、分割振動の起きやすい大口径のスピーカーよりも小口径でストロークの大きいスピーカーの方が音の再現性という観点ではすぐれているのです。まあ、JBLのスピーカーのように、同心円状のコルゲーションを切って分割振動を積極的に利用して再生周波数帯域を広げた製品もありますので、小口径スピーカーに絶対の利点があるわけではないのですが。

さて、今回レビューするのは、小口径のドライバを使ったイヤホンです。中国製イヤホンで、KanenのKM-948です。このイヤホンは、Φ6mmの小口径ドライバを使ったイヤホンです。

先ずは、いつものようにfocalprice.comの商品説明から見てみましょう。

Kanen KM-948 Stereo In-ear Headphones (Black)


  • With a balanced voice performance, comfort the sponge padand stylish appearance, this earphone becomes the first choice of game players.
  • Simple, fashional and exquisite design offers users convenience.
  • Ideal for voice and video chat, music, PC gaming, movies, and voice recognition.
  • Compatible with portable music player.
  • Reverting natural sound.
  • Exact inner structure.
  • Unique design.
  • Speaker size: 7mm.
  • Frequency response 18-20,000Hz.
  • Impedance: 16Ohm.
  • Sensitivity: 90dB.
  • Cable length: 1.2m.
  • 3.5mm connecters plug jack.
 
Product Details (including package):
weight:96 g
size:14*8.5*3 cm

Pack including:
1 × Kanen KM-948 Stereo In-ear Headphones
4 × Earcaps

focalprice.comの商品説明では、スピーカーサイズは7mmと書かれていますが、実際に商品についてくるスペックシートでは6mmと書かれています。

さて、パッケージの方ですが、ごらんのように大変すっきりとしたパッケージングです。KanenのKM-928と同じく、透明の樹脂でできた箱を開けると、無駄に肉厚な白色の樹脂製トレイに商品が収められています。一目でわかるのは、イヤホン本体の小ささです。


パッケージを開けたところです。イヤホン本体と、交換用のイヤーピースが二組添付されています。このイヤーピースは、Kanen KM-948専用で、他のイヤホンには使用できません。また、一般に販売されているイヤーピースをこのKanen KM-948で使用することはできません。小口径ドライバを使用している為でしょうか、音道が非常に細くなっており、それにあわせてイヤーピースの中央部分も非常に細くなっています。従って、他のイヤホン用のイヤーピースをこのイヤホンに取り付けると、ちょっと引っ張っただけでイヤーピースが外れてしまいます。


イヤホン本体部分です。小口径ドライバの低音域不足を補うためか、もっこりとした共振箱の様なものが付いており、この共振箱と思われる部分がこのイヤホン独特の形状を形成しています。このイヤホンは密閉型で、ドライバの背圧を逃す穴は設けられていません。


この角度から見ると、もっこりと突き出た部分が良く解ります。


ケーブルは、黒色の樹脂製丸ケーブルで、長さは1.2mと、ごく標準的です。プラグ部分は、金メッキを施されたΦ3.5mmストレートタイプとなっています。


ケーブル分岐部分は、Kanen KM-92Kanen KM-928と同じく、やわらかい樹脂でモールドされており、Kanenと書かれた小さなエンブレムが埋め込まれています。裏側は、CHINAと書かれたエンブレムが埋め込まれています。この辺りは、そこそこ丁寧な作りと言って良いでしょう。


スペックシード部分です。能率が90dBとやや低めです。


肝心の音質ですが、Kanenらしいドンシャリ傾向ですが、Kanon MD-51Kanon MD-52と比較すると随分とおとなしいドンシャリです。

小口径ドライバを使用していることから、低音域の不足が予想されましたが、実施に鳴らしてみると低音域の不足感は全くありません。締りが良い低音は抑制が効いており、心配された不要な共振によるビビリ音は全くありません。

中音域は、ほんのわずか後退した印象ですが、これはKanenのイヤホンに共通した味付けなのでしょう。特筆すべきは定位の良さで、ボーカルはしっかりと中央に定位します。

高音域は華やかに強調されています。強調されてはいますが、嫌な強調の仕方ではなく、とことん華やかさを持たせたというところです。

このKanen KM-948ですが、小さく軽いイヤホン本体部分は邪魔になることは無く、また圧迫感もありません。耳に付けたまま眠りこんでしまっても耳が痛くなるようなこともありません。密閉型の構造は、弾力に富んだイヤーピースとも相まって、なかなかの遮音性を持っており、電車バスの中では上手に騒音を遮断してくれます。また、ケーブルのタッチノイズは少なめで、体を動かしながらの使用にも耐えられるでしょう。

6mmという小口径ドライバを使ったのは、恐らくメーカーとしては冒険だったのではないでしょうか。購入時の価格はus$4.99と、Kanenのイヤホンとしては中のやや上の価格帯で、その分丁寧に作られているように思います。少々変わった形のイヤホンですが、Kanen KM-928と肩を並べるか、あるいはこちらの方が少し上かも知れない上出来なイヤホンです。ドンシャリで元気に鳴るイヤホンをお探しであれば是非ともお勧めしたい一品です。