このところBA(バランスドアーマチュア)ドライバとDD(ダイナミックドライバ)を搭載したハイブリッドタイプのイヤホンを好んで使用していました。昔から、中国製品には抵抗がなかったので、専ら安価な中国製品を好んで使用しており、それなりに満足していました。
ここでやめておけばよいのですが、ゲテモノ好きがうずき初めまして、安価なDD一発のオーソドックスなイヤホンの世界も垣間見たくなってしまいました。
使い慣れたAliexpress.comで物色していたところ、評価のよさそうなイヤホンを見つけましたので、購入してみました。
購入した品物は、KZのEDR1というものです。購入時の価格はマイク付きのもので¥443でした。送料込みでこの価格ですから、過度の期待は禁物です。冒頭述べましたようにゲテモノに食指が伸びただけですので、どんなにひどい品物が送られてきても落胆しないだけの心構えはしておきました。
では、スペックから見ていきましょう。
相変わらずツッコミどころ満載のスペックシートです。アテにならない周波数レンジは5Hz~28000Hzで、十分な広さがあります。能率も120dB(120dB/mWだと思う)と、これもまた十分です。 実際に送られてきた品物を見て驚いたのですが、きちんと紙箱に入っているんですね。こういった安価な商品だと、専用の箱なんてなくて、ビニール袋に無造作に入れてある場合もあります。そういった意味では、まじめに作られているように思えます。
箱の裏面を見てみましょう。細かい字でスペックが記載されています。箱に書いてあるスペックと販売サイトのスペックに若干の違いがありますが、これは単純な転載ミスだと思います。
箱の蓋を開けると、日付らしき数字が記載されています。ごく最近の日付ですので、今でも製造が続いているということでしょう。安価で古臭い製品ですが、今でも製造が続いているというところにメーカーの心意気を感じます。中身はこんな感じです。きちんと樹脂製のトレイに収められていました。サイズ違いの交換用イヤーピースも同梱されていますし、簡単ではありますが説明書も同梱されています。
では、イヤホン本体を見ていきましょう。ドライバ部分は金属製の円筒で、ローレット加工がしてあります。イヤーピース側は金色の光沢仕上げで、左右を見分けるための赤(右)と青(左)に塗り分けられた線が入っています。レトロな感じの外観ですが、悪くありません。
早速鳴らしてみました。音質は、DD1発としては上出来ではないでしょうか。ドンシャリ傾向ではありますが、高域は多くのBAドライバほどは伸びていませんので、音のキラキラ感は今ひとつですが、逆に高音が刺さるほどきつくなることはありません。低音はDDらしい鳴り方です。ドライバ直径が8mmと、昨今のイヤホンに用いられる10mm級のドライバのような音圧で攻めてくるような感じは薄いです。そこそこ能率の高いドライバが使用されていますが、音量を上げてもなかなか破綻しません。遮音性は中庸ですが、イヤーピースをフォームラバー製のものに変えると装着感の向上と併せて遮音性も向上できます。諸手を挙げて称賛できるほどではありませんが、DD1発、ワンコインでおつりがくる価格であるとことを考慮すれば驚異的なコスパです。形状は古臭いのですが、出てくる音は近代的にリファインされています。恐らく中国ではベストセラーなのでしょう、このイヤホンとそっくりな偽物も多く販売されています。QKZというメーカーが販売している偽物は¥200以下で販売されています。試しに買ってみましたが、偽物としての完成度は高く、ケーブルが若干違う(摩擦係数の高いゴムのような感触の被覆で覆われている)以外はKZの製品と大差なく、音質もKZの製品と極めて近いものでした。本物、偽物とも工作制度は十分に高く、音質も条件付きではありますが上出来です。恐らく、この価格でこれだけの品質、これだけの音が出るイヤホンを作れるのは中国のメーカーだけではないでしょうか。侮るなかれ、中国製激安イヤホン。
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