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Zishan Z1

中国製のデジタルオーディオプレーヤーです。機能としてのオーディオプレーヤーならばスマートフォンにも当たり前のように搭載されています。一方、Zishan Z1は機能も少なく、使い勝手も良くないことは一目見ただけでわかるでしょう。では、なぜこのような製品が存在しているのでしょうか。
余計な機能は無く、そのため電気回路は単純で、部品点数も少ないでしょう。オーディオプレーヤーとして直接必要のない表示装置もありませんので、余計な回路が発生するノイズが再生音に乗ることも少ないはずです。そういった見た目からの想像はできます。しかし、神髄は改造にあるのではないでしょうか。この商品の宣伝文句にも"DIY"という言葉が登場します。単純な回路構成は、部品の交換を容易にしています。特にオペアンプという部品に関しては着脱が容易になるよう、抜き差し可能なソケットを使って搭載してあります。
実際にネット上を探すと、”標準で搭載されているオペアンプはイマイチ”だとか”オペアンプを〇〇製の〇〇に交換すると音がシャキっとする”なんていう書き込みも見られます。

音の良し悪しというのは概ね主観的なもので、正解は人の数だけあると思います。つまり、自己満足の世界です。一般的なオーディオプレーヤーであれば、イコライザーやエンハンサー、エフェクターなどを調整して好みの音を見つけ出すのでしょう。一方、この製品に関しては、部品を交換し、人によっては電気回路に手を加えて好みの音を探ることができます。

普通の人はやらないことをやりやすいように作り、敢えてニッチな世界の住人に訴えかける商品企画はなかなかあっぱれです。

販売サイトに掲載されていたZishan Z1のスペックを以下に転記しました。

Feature:
Product Brand : DIY Zishan MP3 Music Play
Product Model : Z1
Product Type : Professional MP3 HIFI Music Player
Luxury Metal unibody, Fashion Aluminum alloy casing
High Quality Audio : 16 bit 192KHz
Support Music Format : WMA MP3 etc.
Display Size: No Screen
Max Support :256GB TF/Micro Card
 
Z1 support lossless format, 192k 32b vocal, 5.1DTS WAV multi-channel without conversion, the latest DSD music, support CUE track, support DSD ISO, folder operation; independent audio crystal + independent ES9023 DAC program, the real Lineout output, Amp can replace the op amp design, fever capacitor, indicators up to HIFI, big thrust; life 15 hours

なかなか期待させる書き方ではないでしょうか。因みにDACのES9023は24ビットまで取り扱えるようにチップメーカーのホームページには書いてありますが、この商品の説明には16ビットとか32ビットとか記載されています。ちょっと謎ですね。
それでは、届いた品物を見てみましょう。すごくそっけない段ボールの箱に入って送られてきました。

段ボールの箱を開けると、本体とUSBケーブルが入っていました。他には何も入っていません。操作説明書すら入っていません。説明書が必要なほど操作は難しくないということでしょうか。

本体です。前面には得体のしれない図形がレーザー刻印してあります。操作ボタンはPrev.,Stop,Nextの 三つしかありません。Statusは青色のLEDで、電源ON=点灯、再生中=点滅、設定モード=高速点滅、USB DACモード=2回点滅+長消灯、の点灯パターンでステータスが分かるようになっています。

本体上面です。音量調節つまみの他に二つの出力ジャックがあります。音量調節つまみは、何故か反時計回りに回すと音量+で時計回りが音量ーとなっています。一般的な機器の音量調節つまみと回転方向が逆です。出力ジャックはLO=ラインアウトとPO=Phone outの二つが用意されています。どちらもΦ3.5mmのステレオタイプとなっています。

本体底面です。マイクロUSB端子、電源スイッチ、充電時点灯の青色LED、マイクロSDカードスロットが用意されています。マイクロUSB端子は充電とUSB DACとして使用するときに使います。電源スイッチは小さなスライドスイッチで、何故か左にスライドするとスイッチONです。これも一般的なスイッチと逆ではないかと思います。スイッチONの瞬間、強烈なポップノイズが出ますので、スイッチ操作時にはイヤホンは外しておいた方が良いでしょう。

さて、前置きが長くなりました。早速音を出してみましょう。音を出すためには、再生する音楽データを書き込んだマイクロSDカードを用意する必要があります。操作性は極めて悪いので、めんどくさくないように全ての音楽データはルートに置いておいた方が良いでしょう。再生できるデータ形式は、商品説明上ではあまり多くありませんが、実際にはAACも再生できますし、圧縮率を小さくした320kbpsのMP3ファイルも再生できました。WAVも再生できますので、圧縮の影響をなくしたいのであれば選択しても良いでしょう。

期待して鳴らしたのですが、第一印象はがっかりでした。確かにノイズは感じられませんでしたが、全体にカマボコ型の周波数特性で、高音域は寸詰まりで、低音域はスカスカ。中音域だけが主張してしまって、大げさに言えばAMラジオを聞いているような感じでした。
そこで、イコライザーを使ってみることにしました。表示装置が無いので、どのイコライザーが選択されているかわからないので、とにかく音を聞きながらしっくりくる音を探すことになります。何とかフラットに聞こえる設定を見つけました。

自分なりに気に入ったイコライザーの設定にした結果は良好でした。イコライザーを使ってもノイズは感じられませんでした。フラットと思われる設定を選んだ結果ですが、低音域はかなり下から重量感を持ってなっています。高音域は一般的な音源を再生するには不自由のない鳴り方です。
音楽再生ならば、例えばスマホでも十分です。この製品のように操作性は悪く、表示装置も無い器機をわざわざ使う理由はないでしょう。ただ、敢えて不便な機器を使うという面白さはあります。ボリュームつまみを回しての音量調節は、今どき珍しくその感触もなかなか面白いものです。色々と不便はある機器ですが、エキセントリックな外観や洗練されていない操作感など、他に無い面白さはあります。ちょっと変わった物が好きな方は楽しめるかも知れません。

交換用のオペアンプが到着したらオペアンプの入れ替えも試してみたいと思います。
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